梅干し作り (2009.07.04) 森中登美子
五月末に足を骨折し松葉杖になった。動けないがソファの上で休暇の気分だ。
ところが、早めに予約をしていた梅が十s届いてしまった。頃良い熟れ具合の梅を前に嫁入り先を考える。姉は忙しいし、兄嫁は減塩のブランド品が好みだし。思い切って近くに住む娘に電話を入れる。八歳を頭に四人の子がいる現実は解るのだが……。やはり、無理からぬ断りの返事だった。
その後、すぐ電話が鳴った。
「僕が梅干し手伝うから、おばあちゃんの言う通りにするから……。みそを作る時も僕は手伝いに行ったよ。おばあちゃんに褒められたよ。もらった梅干しはなくなりそう」。八歳の子の熱心なアピールだった。
孫たちは、アレルギーのために給食を避け外食も控える。娘は料理に試行錯誤で奮闘する。弁当持参の日常なので、八歳と六歳は、食事の下ごしらえもするし、梅入りおにぎりを作るのも特技の一つだ。四歳も兄姉を真似る。二歳の坊主は、手伝いたがってよけい散らかるのだが……。でもその年齢なりに、皆働き手なのだ。娘にまた勧めてみる。思案の末、やっと初挑戦を承知した。
翌日、娘と四人の孫がやって来た。爪と手洗いをチェックの後、ちび達は梅の甘い匂いに喜んで取りかかる。小さな踏み台の上で順番に梅を洗う。丁寧に水気を拭き、楊枝でヘタを取る。焼酎で消毒する。塩をまんべんなくまぶす。塩を扱いながら、鼻を拭いたり背中が痒いと言い出したりする。私は、時々起る兄妹喧嘩の仲裁係りだ。坊主には梅酒用に選んだ青っぽい梅をあてがい、楊枝で刺す練習をさせる。すぐ飽きて、兄姉と同じことをやりたがり食卓に上る。
それでも何とか容器に収め重石を載せ、封印された品が出来上がった。床を拭きながら満足したような顔で娘が言った。
「ネットに書いてあるのと同じなのね」。