美容整形 (2006.07.21) 千葉ふさこ

 

 私の住むマンションの隣に、四年前、美容整形外科クリニックができた。オープン当初、北九州のしかも街中から外れたこの場所に客など集まるまいと思っていたのだが、何の事は無い。連日駐車場は満杯だ。しかも、今年に入ってテレビの医療番組や女性雑誌で紹介されてからは、県外からの車もよく見かけるようになった。

 二年前、娘からクラスメートのAさんが美容整形をするという話を聞いた。Aさんは東京の私大に合格し、四月の入学を前にイメージチェンジを図りたいのだそうだ。費用は、目と鼻の手術で約三十万。両親も了解しているという。

 Aさんは、とてもチャーミングなお嬢さんだ。性格は明朗活発。色白で、うりざね型の顔立ちに切れ長の目。口元は小さく、笑った時にできるえくぼがなんとも可愛らしい。そんな屈託の無い表情を見せるAさんに、深いコンプレックスがあったとも思えない。

 たしかに、入学を前にイメージチェンジを図りたいという気持ちにはうなずける。三十数年前大学の門をくぐった私も、髪型を変え、流行の服を着て慣れない化粧を施したおぼえがある。しかし、顔かたちを変えるということは果たしてイメージチェンジの範疇なのだろうか。また、それを許す親の倫理観とはどういうものなのだろうか。

 テレビでは、美容整形推奨番組をゴールデンタイムに流し、女性雑誌はこぞって美容整形外科の広告を掲載する。しかし、そこにはモラルや警鐘といった負の提言はまるでない。

 こんな無秩序な情報垂れ流しの現状に私たちはもっと危機感をもたなくてはいけない。少なくとも親はその責務を担って子供を情報の渦から守っていかなければならない。

 大雨の中、隣の駐車場は今日も満杯だ。